清衡さまでシンデレラ Re-lode

 というわけで、清衡さまでシンデレラのちょっとシリアスな続きです。

 「清衡さまでシンデレラ」を読まないとわけのわからない内容となっています。
 しかもラストがなぜか泰/衡×義経的な着地点となっております。
 最初に書いた泰/衡×義経がこれかい!!

 そして「帰って来たら続きをしましょう」はもちろん元ネタはあれです





 清衡は体よく追い払うことに成功した義家の見送りに立ちます。あと少しのところで据え膳を取り上げられた義家はそれはもう悲嘆にくれた憐れなご様子ながらも、すぐに陸奥に戻ってくるぞという気合いも同時に感じられました。
 しかし義家がもう陸奥に戻ってくることなどないことを清衡はよくわかっております。
 ふと義家の憐れな様子を見て清衡は一瞬なにかやるせない気分になりました。何年もともに戦って清衡にも義家に対して情のようなものが生まれかけていたのかもしれません。
清衡「あ……義家さ……」
 まるで魔がさしたかのように清衡は義家を呼び止めかけました。呼び止めて内裏など捨てて陸奥にいればいいとか、自分も京についていくとか口走りそうでした。

ゴーンゴーン!!

 が、突然どこからかお寺の鐘の音が響き、清衡は正気にもどりました。宗任と約束した義家と離れる時が来たのです。おそらく宗任は最後に清衡に気の迷いが生じることを察していたのかもしれません。
 最初は憧れの経清を清衡に重ねていた義家でしたが、最近は清衡を清衡そのものとして見ることも多くなっておりました。清衡が経清として義家を盲目にしておく魔法の時間は終わりをつげたのです。もしこのまま一緒にいても幻想の魔法が解けた後の現実の世界で二人がうまくやっていけるとは思えませんでした。
 やはりお互いのためにここで離れたほうがいいな、と清衡は思います。
義家「なにか?」
清衡「いえ……よろしければこれをお持ちください」
 清衡は一本の扇を差し出しました。紺地の紙に金で経文が書かれ、見返しには朝日の中の衣川の光景が描かれており、月明りの衣川を描いた二対の扇のうちの一つです。
義家「これは良きものを……清衡殿、私はいつ京から戻ってこられるかわかりませんが、あなたがどこにいようとこの扇を手かかりにきっと探し出しましょう」
清衡「…………お待ちしております」
 清衡は自分の中に生まれては消えるいくつもの感情の意味をあえて考えず、一言それだけを義家に告げました。


 約百年後。
牛若丸「奥州へ行く話、乗ってみようと思う」
 鞍馬山に預けられている源氏の御曹司・牛若丸は一本の扇をもてあそびながら奥州の商人・金売り吉次に告げました。いつまでも出家を拒む牛若丸は平氏の世にあってだんだんと京に居づらくなっておりましたが、そのような折に源氏ゆかりのものや養父の手引きで奥州に逃げる話が持ち上がったのです。
 しかし、奥州は京に住むものにとって夷が住む野蛮な異国とも考えられていました。また奥州の支配者・藤原秀衡が本当に信用できるのかもわかりかねます。
 だというのに年若い牛若丸はあっさりと決めました。
牛若丸「吉次はこの扇を知っているか」
吉次「ほう、なぜ御曹司がそれを」
牛若丸「わが父が戦の前に母のもとへ寄ったおりに預けておいたものだ。結局、父上はそのまま戦でお亡くなりになり、母上はこれを形見として俺に与えてくださった。むかし、藤原清衡公が先祖の八幡太郎義家に贈ったものと聞いたぞ。だからこのたび奥州行の話がきて縁を感じたのだ」
吉次「その扇は二対の一つのものの片割れでございます。もう一対は平泉に」
 昨年のことでございます。朝日の衣川の対となる見返しに月明かりの衣川を描いた扇は長らく平泉の柳の御所の蔵にしまわれておりましたが、秀衡のご次男の泰衡がぐうぜんそれを見ていたく気に入り、元服祝いとして貰い受けたのです。
吉次「もう一対の扇の持ち主は……」
牛若丸「いや待て、言わずとも良い。奥州に行ったら自分でその片割れを探してみるのも一興」
 牛若丸はパチッと扇をとじ、笑いながら吉次に告げます。
牛若丸「さあ、連れていけ吉次。俺を奥州へ」


(終)
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