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「竜紹鉄は同じ任地に半年といられない」@狙撃手2話

狙撃手2話を元にした文軒→竜紹鉄の腐SS (文軒は、竜の経歴を調べる文軒は彼が何度も転任させられ、同じ場所に半年といられなかったことを突き止め・・・)

「参謀長、竜紹鉄の経歴について、以前の任地の長官からの調書です」
 部下の張脆が、いつものいかにも小役人といった感じの媚びへつらう笑顔とともに差し出した報告書を文軒は無言で受け取り目を通した。
 そこに書かれていた内容に文軒は思わず眉をひそめる。話には聞いていたが、竜紹鉄が同じ任地に半年といられないというのは本当であった。しかもその理由たるや・・・・・・
「命令への不服従、指揮の無視、傲慢で思い上がりもはなはだしい、性質凶暴・・・・・・」
 文は竜の前任地の教官が彼を評した言葉を読み上げ、ますます彼に対する嫌悪感を募らせていった。滅私奉公,隠忍自重を尊び、軍人とは謙虚で、命令には絶対服従、そしてひたすら国家に忠実で己を組織の歯車となすべきだと信じ、自身そのように生きてきた文軒としては、まったく彼が輝かしい中国軍の軍人であること自体耐え難いことであった。
 しかし文軒もまた自身の職務に忠実な人間、個人的な好悪感で判断はくださない。彼が中国軍人として適格かどうかを決めるのは彼の権限ではない。彼がやるべきなのは、竜紹鉄がスパイであるという証拠を探すきことだ。だが、彼のこの放埓な経歴は、彼が漢奸であるという証拠の手がかりになるのではないか・・・・・・。
 と、自分の考えに沈みこんでいた文軒は、張脆がまだ何か言いたそうな顔でこちらを見ているのに気がついた。
「なんだ?」
「いえ・・・・・・あの、これは言うべきことかわかりませんが・・・・・・」
「言うべきことかどうかはおまえが判断することではない!」
 文軒がいつになくとまどっている部下を叱責すると、張脆は歯切れ悪く切り出した。
「彼の今までの任地の教官が皆仰られていたことなのですが、そこに書かれている組織不適合者ゆえの配転というのは・・・・・・あくまで表向きの理由なのだそうです」
「なんだと」
 何と言うことだろう。これが表向きの理由とは。それではいったいどんなとても文書に書けないような恐ろしい理由があの男にはあるというのか。
「そ、そのですね・・・彼が赴任した場所では、彼を巡って熾烈な争奪戦が起こってしまうらしいのです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ?」

cap149.jpg

 彼の言っていることがまったくわからず、思わず文軒は間の抜けた声を出してしまう。
「で、ですから、争奪戦です。それはもう男女の別なくどころか、上から下まで階級も立場もまったく関係なく! 彼を、その、まあ他に言いようがないのですが・・・彼をモノにするために。これがもう本当に熾烈な血も涙もない争いで、士気がめちゃくちゃになるどころか互いに多大な禍根が残る上に皆それに熱中しすぎてしまうため、作戦行動にも影響が出てしまうので、やむなく竜紹鉄を転任させることでどの戦区も混乱を収拾させているそうです・・・あっ、ちなみに竜紹鉄自身は自分を巡ってそんなことが起きていることは全く自覚していないそうです。何でも皆恋敵の足を容赦なく引っ張るもので、それを振り切って竜本人までたどり着けた者は一人もいないそうなので」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 文軒は何も言えなかった。何を言うべきかまったくわからない。それ以前にこの部下の言っていることが何一つとしてわからない・・・争奪戦? 恋敵? あの男を巡って?
わからない・・・いや、もしかしたらわかりたくないのか・・・・・・
 ふと気がつくと張脆がうかがうような表情でこちらを見ている。文軒は急いで自分の動揺を抑えようとした・・・動揺? 何に?
 実は前任地の長官より文参謀長にご伝言がありまして。張脆のその声が少し遠く聞こえる。なんだ、と文軒は促した。
「『ずいぶんご熱心に竜紹鉄のことをお調べしているようですが・・・・・・どうぞくれぐれもお気をつけて』とのことです」
 その言葉に文軒は今度こそ頭が真っ白になってしまった・・・・・・。
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