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9話 何故? 10話 帰還

9話あらすじ

 一人病室に残った九児は、意識の戻らない竜紹鉄のために歌を歌うが、途中で涙のため歌えなくなってしまう。

 大野連隊では、大野芥川に竜は死んだという新八旅内のスパイからの情報を伝えた。しかし芥川はまだ洪大春や九児、謎の狙撃手など優れた敵がおり油断はできないと言う。

 林団内で会談する林団長段之凡旅長。二人は芥川にこちらの動きが完全に読まれていたことから、新八旅内の情報漏えいの深刻さを確認する。
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自分が竜紹鉄をしとめたことを知る芥川  回復しつつあった竜は、ちょうど大春が来たときに目を覚ました。竜の回復を喜ぶ大春。しかし竜はあいかわらず芥川の動向を気にしていた。大春は、対外的には竜はすでに死んだことになっている、八路軍でしばらくゆっくり休むよう告げる。

 見舞いにやってきた段旅長に竜は任務を執行しなかったことをわびる。竜は「大春たちのことを間違っているとはどうしても思えない」と言い、段旅長は「自分も同じような苦悩をした。しかし軍人として多くの経験を積めば、迷いもなくなる」と言うが、「それは冷血になることではないか」と竜は納得しない。

 竜を見舞った九児は彼がひどくうなされながら寝ているのを心配し、その手を握って慰める。竜が目覚めた時、九児の姿はなかったが、竜は彼女が付き添ってくれていたことに気づく。

 文軒蘇雲暁が竜の死をひどく悲しんでいることに傷つき、妻と竜の以前の関係を聞いてしまう。文軒は「自分と結婚したことを後悔しているか・・・君は今まで一度も私を愛してくれたことはなかった」と言うが、蘇は泣きながら否定し「あなたと一緒に新しい生を始めようとした」と言う。

 起きられるくらいに回復した竜紹鉄は、林団長が以前は学生だったことを知り、軍人になってから悩んだことがあるかを尋ねる。林団長は「いかなる言葉も君の悩みを解決しえない、自分自身で答えを出すしかない」と言い「この反侵略戦争を戦うことの意義を考え、野獣や侵略者のようになってはいけない」と諭す。

 竜を倒したことで本部に戻ることになった芥川。内心残念に思っている大野に芥川は、本部に戻ったらもっと多くの射撃の名手を育てるよう建議したい、と語る。

 大春は林団長に、自分の射撃の腕も相当なものになったので何か任務を与えて欲しい、とつきまとう。林団長は、大春が竜とちっとも交流しないのを咎め、彼は自分達が獲得すべき人材だと諭し、九児を見習えと言う。大春は納得できない様子で、九児は竜と接近しすぎだとも言うが、結局竜の所に行くことになる。

 一方、新八旅では、段旅長が竜紹鉄が最も信頼する部下として石頭に薬を渡し、彼が生きていることを誰にも喋ってはいけないと命じて、林団に派遣する。

 根拠地内を散策する竜は九児と行き会い、回復を喜ぶ彼女に重ねて礼を言う。そこに大春も加わり、根拠地の感想を聞く。好感を抱いていることを話す竜にこのままここにいればいいと勧める。
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大春・九児と穏やかな時間を過ごす竜

 再び九児と二人になった竜は、なぜ軍人になったのかと問う。九児は愛する人々を自らの力で守るために戦う、自分達は日本軍人とは違う、彼は自ら人であることをやめ野獣になった、と答える。


第10話あらすじ

 林団に向かう石頭は途中で銭国良にからまれ、薬を落としてしまう。それを拾った蘇雲暁は、このような高級な薬を誰に渡すのか想像し、慌てて立ち去った石頭の後をつける。

 九児竜紹鉄が資産階級であることに思い悩み、胡子淑に馬鹿なことを考えないよう叱られる。竜と会えた石頭は、彼が順調に回復していることを喜び新八旅に戻る。

 一人になった竜は後をつけてきた蘇と出会う。彼が生きていたことを知り泣きじゃくる蘇に竜は初めて手を触れる。竜は彼女の今の幸せのため、自分達の過去はすべて忘れるという決意を伝え、蘇の涙を拭いてやる。竜のために食事を作ってきた九児は、ちょうどその現場を目撃してしまう。九児は二人のただならぬ様子にその場を去るが、ショックのあまり転んでしまったところに大春が来合わせる。何も言わないまま泣き出してしまう九児を気遣う大春も、森の中の二人に気づき事情を察する。

 新八旅では段旅長文軒が、迫り来る日本軍の夏季攻勢への対応を協議していた。文軒は、竜が死んで以来、情報の漏洩事件が起きていない、と言う。夜、新八旅に戻ってきた蘇は喜びのあまり文軒に抱きつき、文軒は事情を知らないまま妻が立ち直ったことを喜ぶ。
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竜が生きていた喜びで夫に抱きつく蘇雲暁

 林団長に新八旅に戻ることを告げる竜紹鉄。途中、沈んだ顔の九児とも別れを交わし、内心で八路軍に属する彼女のことをこれ以上思うのはやめよう、と誓う。命令で竜を送りにきた大春は蘇とのことを目撃したことを告げる。竜は彼が自分達の関係に干渉しようとするのを怒るが、大春は九児がひどく傷ついていることを伝える。

 勝手に戻ってきた竜に段旅長は戸惑い、文軒の懐疑を避けるため後方に行くことを薦めるが、竜はまったく聞き入れず、ここに残ることを強硬に主張する。段旅長は彼の頭が芥川への報復心でいっぱいなことに呆れ、彼の願いを聞き入れる。石頭は新兵たちのリーダー的存在となり、皆で抗日歌を歌っていた。竜の帰還を信じていた石頭は、大いに喜び、新兵たちも彼を歓迎する。
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仲間たちと抗日ソングを歌う石頭

 竜が生きていたことに驚いた文軒は、段旅長に隠蔽策を抗議する。自分を騙していた蘇にも怒りをぶつけるが、結局妻を責め立てることは彼にはできなかった。

 多くの愛国学生が国軍に参加しに来たことに段旅長は感動する。竜は二ヶ月の時間と充分な銃弾があれば彼らを立派な狙撃手に育てて見せると言うが、段旅長は日本軍が夏季攻勢に出るまで一ヵ月しかなく、余分な銃弾もないと言う。

 二勇の家族宛の手紙を代筆していた大春は、自分の妻宛の手紙を書いているところだと小梅に嘘をつき、ちょうどやってきた九児に笑われる。大春は九児を呼び止め、彼女が竜に恋をしているのは階級立場上問題だとなじる。お互いに頭に来た二人は喧嘩になり、大春は九児の動きを封じて自分の嫁になれと迫るが、腕に噛付かれて逃げられてしまう。

 蘇は竜が新兵の面倒を見たら、彼らが戦死した時、彼の苦悩がまた増すことを案じる。しかし竜は、逃げるのではなく彼らを一人でも生き残らすために最善を尽くすことに決めた、と言う。夜、何者かの気配を感じて部屋の外へ出た竜は文軒と顔を合わせる。背を向けて部屋に戻ろうとする竜に文軒は「自分に背後から撃たれる心配はしないのか」と問うが、竜は文軒は自身のプライドにかけてそんなまねはしないと応える。竜は文軒が自分と違い蘇の真実の心を理解できないため、こうも苦しんでいるのだと理解する。


感想

 今回は瀕死の重傷を負ったことで、竜が軍人としての自分はどうあるべきか悩むのが主題? 
 過酷な戦場になじめない竜はずっと軍人とは何か,戦争とは何か,その中で自分はどうあるべきか悩んでいただろうが、彼が深い迷いの森の中に入ったのは直接的には先の事件が引き金となったのであろう。

竜紹鉄「私はドイツの軍事学校で最初に学んだことは、軍人の最大の職責は命令に絶対服従することだということでした。如何なる時でも徹底的に服従するようにと・・・・・・・・・しかし、あの時、私は民衆が日本兵に襲われているのを見ました。・・・私には大春たちが間違っていたとは思えないのです」


 8話では、大春たち八路軍の勝手な行動で任務を台無しにされたことを静かに怒り、そのため大春を冷たく拒絶していたように見えた竜。しかし実際には、大春たちの行為を否定することができない自分自身に対する戸惑いが大きかったようだ。それは「命令に絶対服従」という叩き込まれた軍人としてのアイデンティティの根底を揺さぶる思いであり、そのことに対する戸惑いと反発が、大春に対する反発という形で現れたのではないかと思う。

 竜はおそらくその戸惑いと正面から向き合うことにしたため、いろいろな人に相談する。
 その最初は、北伐に参加して以来15年以上軍人一筋でやって来た段旅長。

段旅長「あまり悩むな。君は一人の軍人だ。そういうことは君が決定を下すことではない」「君のこの種(任務か民衆の救済か)の悩みはよく理解できる。私もかつて似たような経験をした。これは軍人の運命なのだ。痛苦、自責、迷い、悲しみ、疑い・・・・・・私も軍人になったばかりの頃は、君と同じだった。しかし戦場経験を積んでいくうちに、きっと鍛えられてくる。信じなさい、時間がすべてを解決してくれる」


 段旅長のこの言葉を受け入れることができれば、竜も楽であったろう。しかし後に林団長からも「誰かが君を救うには、君は聡明すぎる」と言われたように、竜は簡単に自分を納得させるには利口すぎたし、納得もしていないのに自分をごまかすには妥協を知らなすぎた。

竜「・・・鍛えられる、ですか? それは冷血になるということではないですか?」



竜紹鉄は旅長に難題を出してしまった、と思った。旅長は職業軍人としてずっと生きてきて、上官の命令を忠実に実行してきた。彼は「何故?」と問うたことがない。竜紹鉄は彼に自分の未来の姿を見るような思いだった。(小説版)



 竜は次に林団長に相談する。林団長は段旅長と違い、元は大学の歴史学科の学生で、戦争さえ起きなければ一生、軍事とは無縁であるべき人物だった。

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林団長「もし、このような戦争が起きなければ、私たちは決して軍人になろうとは思わなかったろうね」
竜「私の場合は、違います。私の父は軍人で、彼は私が小さい頃から軍校に通わせました。彼は私に軍人として出世して欲しいと願っていたのです」
(中略)
竜「林団長。学生から指揮官の立場になる中で、何か迷ったことはありましたか?」
林「君が何を言いたいか、よくわかる。段旅長とも話したのだが、今の君は相当思い悩み、その悩みを少しも手放すこともできない、と」
竜「段旅長は私のことをよく理解してくれています。しかし、彼には私を救えません。大春が、戦争中の軍人にとって生きるのは死ぬよりつらい、と言っていましたが、その通りだと思います」
林「他人が君を救うには、君は聡明すぎる。君は自分自身で答えを出すしかない。戦争というのは、どこで起きたものであろうと、成功しようと失敗しようと、無数の若い命が犠牲になる。軍人が戦場で国のために身を捨て、戦死するのは勇気がいる。しかし戦友や部下の犠牲と流血を受け入れて、しかもある時にはそれが自分の失敗によって、最も親密な戦友が自分の腕の中で死ぬということを受け入れて生きるのはさらに勇気がいる」
竜「わかっています。しかし私はそれに耐えられないのです」
林「君の経験は、とても常人には耐えられないことだろう。忘れるしかない。しかしこれだけは覚えておきなさい。君と君の戦友の犠牲、苦しみには意義がある。私たちがやっているのは反侵略戦争だ。私たち・・・私も君も含むが、歴史は必ず私たち祖国のために戦った中国軍人を記憶するだろう。これは軍人にとって名誉なことだ。しかし、その名誉は戦争によってもたらされるものではない。人間の本質、人間の高貴さによってもたらされるのだ。軍人と野獣や侵略者を分けるもの、それは私たち自身の変ることの無い共感の心にかかっている。」


 林団長のこの時の話は、このドラマに流れるテーマそのもののようである。

 また竜は九児にも

竜「ずっと聞きたいと思っていた。どうして君のような少女が軍人になろうと思ったんだ?」
九児「・・・私は大家族の一番上だったの。おじいちゃんが亡くなった時、八路軍が私を育ててくれたわ。それで私は知ったの、この世界にはまだこんなにたくさんの家族がいるって。今、私は大人になったわ。私は私の家族を守ることができるようになった。私には私の家族がひどいめにあうのを見過ごすことはできない。私たちは日本人とは違うわ。彼らは中国人を人間扱いしないことで、逆に自分達で自分達を獣へと貶めてしまった。(中略)私たちには理想がある。私達は新しい中国、新しい社会のことを考えている、私たちの家族、戦友、兄弟姉妹のことを想っている。二度と誰も苦しむことのないことを願っているの。これが私が軍人になった理由」


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 侵略者は被侵略国の人間に非人道的な扱いをする。しかしそのことで逆に自分達自身を貶めている、という話はもっともだと思う。これは植民地の宗主国を被植民地の人間の関係にも当てはまる。だからこそ、侵略や植民地主義と戦う側には、侵略者や植民者よりも高い道徳性と人間性が求められ、むしろそれこそが勝利の鍵と言ってもいいのではないかと思う。


 竜の聞く順番が段旅長→林団長→九児と、どんどん軍人らしからぬ人へとなっていくのがおもしろいかも。こうすることで、職業軍人一筋の人とは違う視点が竜の中に取り入れられていくということかな? 
 しかし、ちょっと納得行かないのが、竜が全然大春には聞こうとしないことだ。後に判明する大春の、今の明るくたくましい様からは想像できないような暗い過去を考えれば、彼にこの「軍人のあり方、なぜ戦うか」の問題を問えば、また興味深い回答が返ってきそうだったのに(って言うか私が聞きたかった)。
 竜が九児が軍人の道を選んだことには疑問を抱いても、大春に対して同様の疑問を抱かないことも納得がいかん。それは大春は軍人に適当な年頃の男で、しかも経験豊富な「悪擦れした老兵」でもあり、彼が戦場で戦うのは九児のような少女が戦うよりも自然に見えるかもしれない。でも、軍人になってあたりまえの人なんて本当はそう多くはないのにね。しかも大春は「大春たちが間違っているとは思えない」という竜の悩みの引き金を引いた存在だし。


 なにはともあれ、竜も一定の心の整理がついたらしく、自分が訓練した新兵が戦場で死んだらまた彼が傷つくのではないか、と心配する蘇雲暁にこう応えるまでになっている。

蘇「あなたはまた学生兵を指揮するつもりなの? 過去のことを忘れてしまったの? 彼らはただの学生よ、愛国心が強い以外は何もない、なんの軍事的才能もない! 戦場で砲弾の的になるだけよ!(中略)あなたはまた彼らを率いて、目の前で一人一人死んでいくのを見ることになるのよ! またあなたは傷つくわ!」
竜「過去にはそうやって悲観的に考えたかもしれない。しかし今は、学生兵たちをみすみす死なせはしない。俺は彼らを救うため力を尽くす。わかったか?」


 それが困難なことだからといって目をそらして逃げるのではなく、あえて引き受ける道を選ぶと言う。また、文軒のことをあいかわらず嫌ってはいるものの、妻の件で自分に恨みを抱く彼に対して

(俺にはこの男の苦悩が理解できる。彼はまだ彼女の本当の気持ちが理解できていないのだ)


と思うまでになっている。単に文軒を徹底的に嫌い、彼の心情を忖度する必要性を感じていなかった頃からだいぶ成長した、と言えるだろう。


ピックアップ場面

 九児は声をあげて泣き出し、大春の懐に飛び込んだ。あっけにとられる大春の胸に縋って、九児はまるで子供のように泣き続けている。大春は自分の心が切り裂かれるような気持ちで聞いた。
「誰がおまえを傷つけたんだよ。教えてくれ、俺がそいつを絞め殺してやるから!」

 
 小説版の92ページより。竜紹鉄と蘇雲暁が会っているのを見てショックを受けた九児が大春とばったり会った時の場面。
 だいたんにも大春の胸に飛び込んで泣いてしまっています(TV版では大春の側で泣き出しただけでした)。
 大好きな女にいきなり抱きつかれて呆然とする大春が純情でかわいい(男女関係に厳しい規律がある紅軍で育った大春には初めての経験だったに違いない)。でも九児が何かに傷ついているのを知って、動揺もどこかにいってしまい彼女を気遣うのもいい。


九児「前は字の勉強をするくらいなら刑罰を受けたほうがましだって言っていたのに、字典まで持ち出して書くなんて、明日は太陽が西から昇るのかしら?」

 
 大春の勉強嫌いを実に的確に言い表す九児。って言うか、可愛いな大春。


 さて、九児が竜紹鉄のことを好きなのが気に入らない大春は、地主階級を好きになるのは「階級立場」上とても問題だと文句をつけます。それに対して九児は大春に何の関係があるのかと怒りますが、

大春「俺は党支部の副書記だぞ。おまえの問題は、当然支部にそして俺に関係がある」
九児「組織のことを持ち出さないでよ! 私が彼に関心があるのが本当だとして、別に何も間違っていないでしょ。『団結して抗戦する』というのは党の政策方針じゃなかったの?」
大春「政治レッテルを持ち出すなよ」


 なんか楽しい会話だな。ようは三角関係のもつれのはずなのに、「階級立場」やら「組織」やら「政治レッテル」やらがナチュラルに飛び交っているのは。マルクス主義を生半可にかじった共産軍の一般兵士のこういう会話は、中国やベトナムの映画・ドラマ内のコミカルな場面でよく見られる手法で、けっこう好きなパターンです。当人同士は真面目にマルクス主義用語を使っていてそれが却って笑えるパターンと当人も確信犯的に誤用して楽しんでいるパターンに大きく分かれます。


 死んだはずの竜紹鉄が戻ってきたことで、段旅長に欺かれていたことに気づく文軒。しかも妻の平静な反応から、彼女の真相を知っていながら自分に隠していたことにも気づいてしまう。竜が死んで以来、深く歎き悲しみ、目を離すと自殺しかねない妻を必死に慰めてきた文軒は、その彼女の「裏切り」に怒り狂う。

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机の上の書類をぶちまけて激怒する文軒

 ・・・が、蘇が泣きそうになったのを見てあっさり「すまない、君を傷つける気はないんだ」と謝ってしまう。
 や、文軒はもっと怒っていいと思うよ?
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