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『統一戦線 結成編』(狙撃手)

「狙撃手」の8話を題材にしたSS。本来、この場に大春はいませんが、いることにしてください。

「石頭、他の国軍の人たちはみんな帰ったわ。・・・・・・あなたも早く帰らないと」
 九児が泣きじゃくる石頭の肩に手を置き、そう優しく諭している。大春は半ばうなだれながら、その様子を見るともなしに見ていた。
 ……生きる意志がないなんてあんまりだ。おまえのこと、ひどい奴だと思っていたけど、これが一番ひどい。
 大春は意識の戻らない竜紹鉄を心中で罵りながら、涙を必死にこらえていた。
「……石頭、あなた軍人でしょ? 規律を守らなければいけないわ」
 と、ふいに石頭が顔をあげ、きっぱりと言った。

「俺は帰りません! 長官には俺が必要なんです! 俺は長官のお側から離れません!」
 

 ……………………一瞬、屋内なのに雷光が閃いたような気がした。
 

 ……………………………………………今、なんつったこのガキ。


 はじかれたように顔をあげた大春は、九児を見た。九児もほぼ同時に大春を見、二人の目が合う。
 二人は言葉を交わさない。しかし、目と目だけでお互いに言わんとしていることはあった。


 竜紹鉄にはおまえが必要? …………こいつ、ガキの分際で竜紹鉄の何のつもりだ…………。

 大春は目で九児に己の意思を伝え、九児も頷いた。二人はこの時、同じ八路軍として、そして中国共産党員として、その同志的連帯感によって確かに理解しあっていた。

『……これは……俺らに対する宣戦布告と受け取っていいだろうか?』
『当たり前じゃない! ボッーとしている場合じゃないわよ!』
『ヤるか?』
『ヤりましょう!』
『…………俺達、一時休戦だな』
『そうね、今は共通の敵を倒すために団結しましょう』

 目だけでそんな会話を交わした二人は、同時に頷く。そして大春は、荒々しい足取りで病室を出て行った。

「長官……目を覚ましてください。俺を置いていかないでください……」

 そんな石頭のむかつく泣き声を背後に聞きながら。


「二勇! 大刀!」
「あっ、連長……あの大少爺どうなっ……」
 みなまで言わせず、大春は大刀の肩をがしっ!とつかむ。
「二人とも、ちょぉっと、俺の頼みを聞いてくれるかな? 聞いてくれるよな? って言うか聞け」
「な……なんですか?」
 なぜか大刀は少し脅えたような声で言う。
「あのクソガキの石頭を、ここからつまみ出すんだ……団長の命令で残ってはいけないってことで」
「えっ? でも団長は、可愛そうだから石頭が残りたいなら今晩は残ってもいいって・・・・・・」
「石頭はどーしても帰りたいんだそうだ、団長にはそう言えばいいだろ・・・・・・なあ、まさか、俺の頼みが聞けないってことはないよな?」
 大春は笑ってそう言った。なぜか大春が笑うと二人はますます脅えて震えながら何度も頷いた。


 数分後。
「嫌です! 俺は帰りません! 放して! いやああーー、長官! 長官!」
「連長・・・あ、いや、団長の命令で、段旅の人間を残らすわけにはいかないんだ!」
 柱にしがみつき泣き叫びながら抵抗する石頭を二勇と大刀はむりやり病室から引きずりだしていた。
「九児姉さん! 助けてぇ、俺は帰りたくない! 九児姉さん、姉・・・・・・」
 石頭の助けを求める悲痛な声に、九児は自分にはどうしようもないと悲しそうに顔を背ける。
 その哀れな声も、二人がかりで連行されるむごたらしい光景も遠ざかった時、木の陰から大春が出てきた。

「ご苦労様」
「ああ、九児もあのガキを油断させる役、ご苦労さん」
「まったく、あの子が国軍でどう竜小に取り入っているか知らないけど・・・・・・」
「そうだな、ここは俺たち八路軍の陣地だ。好きにできると思ったら大間違いだ」
 そして二人は互いの手のひらを叩き、共通の敵を葬り去ったことを喜びあった。


おまけ
「二人とも超大人気ないよね」by二勇
「つーか・・・・・・連長、怖かった・・・・・・笑っているのに目は据わっているんだもの・・・・・・」by大刀
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